「あの時とは違いましょうや……」
「そう大差はねえさ。まあ、ちびすけのままじゃあ、確かに致そうとは思わねえだろうがなあ」
言いながらも勘解由の片手は幻之介の物を捕らえていた。
強めに握りこめば、その刺激を止めようと、幻之介の手が勘解由の腕を掴んできた。耳元を舐め上げれば、その体は小刻みに震え始めるのだった。
ぶつりと皮膚に爪の刺さる感触。一瞬その痛みに勘解由の動きが止まった。
「やっぱり……、駄目……」
と、あわてて手を引く幻之介。勘解由は構わず手の動きを再開したのだった。
「構わねえって言ってるだろう……」
それでも幻之介は怯えるように身を捩る。
「私……、勘解由様を傷つけてしまうっ」
半ば恐慌状態の幻之介は勘解由の手から逃れようと暴れるのだった。
「まったく、往生際が悪いなあ……」
舌打ちとともに、勘解由は幻之介の髪留めの紐を引き抜いていた。器用に暴れる体を押さえつけると、その紐で幻之介の両手首を括ってしまったのだった。
「えっ……、あっ……いやっ……だっ」
そのままうつ伏せに押し倒すと、その背後から手を伸ばしたのだった。
「これならば、文句はあるめえ?」
言いながら、幻之介の腰だけを上げさせる勘解由。
あまりの格好に、幻之介は不自由な手で自分の顔を覆っていた。両手と舌先で、幻之介の前後を刺激し始めた勘解由。堪らずにあげた幻之介の泣き声も無視して蹂躙していくのだった。性急に広げられる小穴。刺激の強さに、幻之介は床に爪を立てた。ガリッ、ゴリッと、その鋭い爪が食い込む音が聞こえた。充分とはいえぬ広がりにも関わらず、勘解由は己を突き立てた。両腕を突っ張るように仰け反る幻之介。その口からは悲鳴にも似た声が上がった。逃げを打つ腰を抑え込んだまま、勘解由は激しく抜き差しを繰り返した。獣の姿勢での結合に、幻之介の口からはひっきりなしに声が漏れていた。
許しを乞う幻之介の泣き声が、いつしか放出を願う哀願へと変わっていった。だが、勘解由は幻之介の根元をきつく戒めたままそれを許さない。
次第に艶を含んでいく幻之介の声。自ら勘解由の動きに合わせるように、腰を擦りつけてくるようになるのだった。
「狂うよう……、もうっ、これ以上は……いああ……」
がくんと、力を失う幻之介の上半身。何かを求めるように伸ばされた両手。括られたままの手が、何かを求めで蠢いていた。
放出も出来ぬまま、その時と同じ締め付けを勘解由に与え幻之介。
勘解由は、とたんに己の物を引き抜いてしまったのだった。
「何故……、勘解……由……様ぁ……」
切なそうな顔を向けた幻之介。
「嫌なんだろう?」
意地悪く言う勘解由に、幻之介は体の向きを変えたのだった。不自由な手を使ってその体を起こすと、そのまま勘解由の方を向いたのだった。
「嫌……じゃあない……」
言うと、その両手を勘解由のモノに添えたのだった。ゆっくり下がっていく頭。それに幻之介の舌が這う。音を立てながら、舌先を這わせる幻之介。その間も幻之介の腰はもじもじと揺れていた。
幻之介の頭を優しく撫でてやれば、艶を含んだ表情で勘解由の方を見上げてきた。
すでに後に引けないところまで追い上げられた体を持て余しながらも、幻之介は勘解由への奉仕を続けるのだった。
勘解由の片手が幻之介の手首へと延びた。するりと解かれた縛め。そこには薄らと紐の跡が残っていた。その手首を掴みながら、勘解由は幻之介の体を起させた。座りなおすと、その手ごと幻之介の体を引き寄せたのだった。
「来いよ……、幻之介」
幻之介は恥ずかしそうに頷いた。
勘解由の促しのまま、幻之介はその脚を跨いだのだった。そして、自ら勘解由のモノを飲み込む様にゆっくりと腰を下ろしていく。
僅かに開けられた口元からは、一対の牙が見え隠れしていた。勘解由は構わずに頭を引き寄せると、そのまま唇を重ねていた。
忍び込ませた舌先に、おずおずと絡ませてくる幻之介の舌先。強く吸い上げてやれば、鼻から微かな声が漏れた。
幻之介は手を握り締めたままで、勘解由の頭をかき抱いてきたのだった。たぶん、爪を当てぬようにとの配慮なのだろう。勘解由は苦笑を洩らすしかなかった。
反り返ったモノを弄ってやれば、堪らないとでもいうかのように腰を振り出す幻之介。ゆっくりとそれに合わせるように突き上げてやる。だが、快楽を求めて上下させる幻之介が峠を越えそうになると、わざと勘解由は刺激を止めるのだった。
何度もはぐらかさせる刺激に、幻之介の我慢も尽きた。
「もう……、お願……いだ……からあ……」
何度も男の名を呼びながら、その肩口に爪を立てた。自ら男の口を吸い上げてまで強請ってきたのだった。
勘解由はくい込む爪を感じながらも、幻之介の求めに応じるべくその体を押し倒したのだった。
上がる声は艶やかに響く。
激しい突き上げに、何度も蜜をこぼしながら、幻之介は体を振るわせた。強い絞り上げを勘解由に与え続ける。勘解由もまた、身震いをしながら幻之介の中に吐き出した。勘解由が放出の余韻を引きずりながら抜き出した頃、幻之介の意識はすでに暗闇の中へと落ちて行った後だった。
裸のままで勘解由の腕の中に納まっている幻之介の寝顔。朝日の中で見る限りは既に牙の存在は影も形も無くなっていた。爪ですらも、多少は長くはなっているものの、鋭さは消えていたのだった。昨夜のことが嘘ではないことを示すかのように、勘解由の片口には数条の爪痕が残されていた。
「ご……めんな……さい……」
小さな声にふと胸元を見れば、俯き加減の幻之介。
「別にかまいやしねえさ。おめえが必死でしがみ付いた証しだからなぁ……」
笑みを浮かべた状態でいえば、幻之介は途端に耳まで紅く染め上げたものだ。そのまま、彼は言葉を失って、勘解由の胸元に顔を埋めてしまった。
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